OpenStreetMap + Disaster Ninja で危機対応を最適化

2019年のサイクロン・イダイ、2018年のエボラ出血熱の流行、2015年のネパール地震などの災害時において、OpenStreetMapのデータを改善し更新することが、救援活動を支援する効果的な方法であることが証明されています。Disaster Ninjaは、OpenStreetMapコミュニティ向けのツールで、マッピングタスクの準備と優先順位付けを容易にし、危機発生時の貴重な時間を節約できます。

Konturのチームは、災害管理組織向けの技術ソリューションプロバイダーとしての経験に基づいて、Disaster Ninjaを構築しました。OpenStreetMapコミュニティへの積極的な貢献者であるKonturは、緊急マッピングキャンペーンの迅速な展開をサポートするツールを作成するために、Humanitarian OpenStreetMap Team（HOT）と提携しました。

迅速な情報

Konturチームは、南米で2019年に発生した地震の際のHOTのアクティベーションプロセスを調査し、自動化で支援できるコンポーネントを特定しました。現在、HOTレスポンスコーディネーターは、重要な情報をすべて1か所に集約することで、Disaster Ninjaを使用して、数時間ではなく数分でDisaster Size-Upsドキュメントとマッピングタスクを準備しています。 

「Disaster Ninjaは、状況把握の時間を半分に短縮しています。今では、アクティブ化する理由があるかどうかを1時間以内に把握することが可能です。非常に役立つレイヤーを1つのパッケージにまとめていることに本当に感謝しています。間違いなく時間の節約になっています。」
Russell Deffner, HOT Response Coordinator

すぐに使用できるデータレイヤーは、人口密度がマップされたインフラストラクチャにどれだけ対応しているかを示し、最も注意が必要な人口密集地域を優先するのに役立ちます。HOT のタスクマネージャーからのタスクに関する情報は、対応チームが新しいマッピングタスクを開始するか、既存のタスクを使用するかを判断するのに役立ちます。Kontur は、Global Disaster Alerting Coordination SystemをHOT の Slackに接続する自動アラートシステムもセットアップしました。コーディネーターは、ワンクリックで Disaster Ninja インターフェイスでイベントの分析を開始できます。

OpenStreetMapコミュニティのサポート

Disaster Ninjaは、より広範なOpenStreetMapコミュニティにとっても有用です。データレイヤーは、マッパーが特定のエリアにおけるOpenStreetMapデータの鮮度を判断したり、人口密度と予想されるフィーチャー密度との間にミスマッチがあるエリアを特定したりするのに役立ちます。 

ウクライナのOpenStreetMapコミュニティは、16周年を記念して、国内のOpenStreetMapのカバレッジを改善するためのマッピングパーティーを開催しました。Disaster Ninjaを使用してマッピングが不十分な地域を特定し、ポロヒ市が地図上にほとんど存在しないことを突き止め、追加するためのマッピングタスクを組織しました。

グローバルなOpenStreetMapコミュニティは大規模で、ローカルとリモートの両方のマッパーを歓迎していますが、ローカルコミュニティはコミュニケーションと連携の方法が異なります。Disaster Ninjaは、ローカルのマッピングコミュニティと、それらとつながる方法を提案します。また、ある地域で最も活発なマップエディターのOpenStreetMapユーザー名を特定する「アクティブな貢献者」レイヤーも含まれています。

直感的な分析への投資

Disaster Ninjaで利用可能な分析レイヤーのツアーでは、Konturチームがこの社会貢献ツールに投資した分析と設計の深さを示しています。

OpenStreetMapの「量」：OpenStreetMapオブジェクトと人口密度の相対的な分布を、二変量コロプレスマップ（地図製作者のJoshua Stevensに触発された）で視覚化し、2つの指標間の関係を視覚的に探求し、予想よりもOSMカバレッジが低い人口密集地への注意を喚起します。

Building Quantity and Road Length: これらのレイヤーは、すべての居住家屋が地図にマッピングされ、すべての居住地が道路で接続されている程度を分析します。建物と道路は、災害対応時に支援が必要な人々を特定し、場所をナビゲートするために不可欠なデータであるため、これらは通常、HOTアクティベーション中の優先マッピングタスクとなります。

OpenStreetMapの「アクティビティ」：過去2年間の特定の地域におけるマッピング活動のレベルを、編集履歴とアクティブなローカルマッパーによるマッピング時間に基づいて測定します。「マッピング時間」は、ユーザーが少なくとも1つのタグ付きオブジェクトをアップロードした1時間としてカウントされます。マッパーは、過去2年間に30時間以上のマッピングを行った場合、アクティブと見なされます。マッパーが「ローカル」と見なされるかどうかは、最も活発にマッピングを行った場所に基づきます。

OpenStreetMapの「古さ」：特定の地域におけるOpenStreetMapデータの古さと、過去30日間にユーザーがその地域でOpenStreetMapを閲覧した回数を示します。このレイヤーは、人々が地図のどこを見ているのか、そしてそこの地図データが更新の時期を迎えている可能性があるかどうかを理解するのに役立ちます。編集頻度が最も低いが最も人気のあるエリアを特定することで、更新作業の優先順位付けに役立ちます。

都市中心部と定住周辺部: 人口密集地域でのマッピングには、より小さなタスク範囲と、より経験豊富なマッパーが必要です。一方、人口密度が低い地域では、より大きなタスク範囲を設定でき、初心者マッパーにも容易です。都市中心部のレイヤーは、災害の影響を最も受ける人口密集地域を強調し、定住周辺部のレイヤーは、より分散した人口地域を示します。これらの形状は、GeoJSONファイルとしてダウンロードして、さらなる分析や、HOT Tasking Managerでのマッピングタスクの概要を示すために使用できます。

人口：一般公開されているグローバル人口データセットの作成と維持は、Disaster Ninjaの基本的な要素です。このデータは、Facebookの高解像度集落データ、グローバル人居住層、Microsoft Buildings Footprints、Copernicus Global Land Coverなどの公開されているデータを処理することにより、継続的に更新されます。Kontur Populationの最新バージョンは、data.humdata.orgで入手できます。

Disaster NinjaはOpenStreetMapコミュニティのニーズに基づいて開発されています。改善案や特定のユースケースでより役立つ方法があれば、Konturチームにご連絡ください。Disaster Ninjaのインターフェース内にはチャットボックスもあります。‍

Disaster Ninja を活用して、OpenStreetMap への貢献を始めてみましょう。災害対応や社会貢献のための同様のツールを開発されている場合は、Mapbox Community チームにご連絡ください。‍